社説

去勢・避妊手術助成復活を。

市議会定例会9月会議の決算特別委員会で、赤木貴尚議員が、市の野犬捕獲業務委託費について「毎年456万円の決算だが、相変わらず野犬が多い。成果が出ているのか」などと質問した。
市環境衛生課長は捕獲頭数について、平成26~28年に98、158、150頭を捕獲し、死がいの引き取りも同26、139、119頭だった数字を報告した上で「イヌもなかなか賢くなり、捕獲機に入らない。睡眠薬入りの餌も食べてくれない」などと説明した。この島の中で、毎年膨大な野犬が捕獲、死がい引き取りされていることは、悲しい気持ちになる。
この数字にはさらに暗闇がある。捕獲された野犬は、市が捕獲したものも含めて処分はすべて壱岐保健所で行われているが、同所の26~28年の処分頭数は93、76、69頭と市の捕獲頭数よりもはるかに少ない実績だ。これは保健所が行う「処分」は狂犬病予防法に基づいたものであるため「生後90日以上」としているためだ。
壱岐保健所でも市とは別に年間数十頭の成犬の捕獲業務を行っているため、市の示した捕獲頭数の相当部分が「生後90日未満」の幼犬なのではないかということも、このデータから想像できる。
その幼犬が「野犬」なのか「飼えなくなった引き取り犬」なのかは区別されていないが、肝心の親の野犬が減ってくれなければ、子どもや観光客の不安は消えないし、幼犬の捕獲をこれだけ行っていることは、動物愛護管理法が守られていない自治体という不名誉なレッテルが貼られることになる。
親犬が捕まらないのなら、まずは飼犬の去勢、避妊手術を進めていくべきだ。本市も平成25年度までは去勢手術7千円、避妊手術1万5千円の助成を行っていたが、「利用が少ない」などの理由で廃止になった。
制度を復活、利用拡大のためには、助成金のPRをするのはもちろんのこと、助成を全額負担にまで広げることも必要ではないか。

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