壱岐市から県に対しての要望活動が12日、県庁特別応接室で行われ、市側からは白川博一市長、小金丸益明市議会議長、山本啓介県議らが、県からは中村法道知事、関係部長らが出席した。白川市長は昨年要望の一番手だった壱岐空港の滑走路延長を、ORCの調査結果を踏まえ、より実現性を高めるために全長を「1700㍍以上」から「1500㍍以上」に引き下げて、今年もトップに掲げた。中村知事からの回答は今年も厳しいものだったが、白川市長は「航空路存続を願う市民が安心するためには1500㍍への滑走路延長しかない」と一歩も引き下がらなかった。
白川市長は「現在運航しているQ200型は更新時期を2020年から22年に迎える。同機種はすでに製造が中止されている。後継機と目されているQ400型を現在の1200㍍滑走路で運航するには、搭乗者、燃料とも制限しなければならず、就航は現実的に困難だ」と改めて指摘。また「国の『持続可能な地域航空のあり方に関する研究会』の最終報告書で地方空路における機材の統一化・共通化などが検討されているが、実現には相当な困難が予想される。本市の空路存続のため、1500㍍以上の滑走路を有する空港の整備、地方空路の維持存続に向けた方針の速やかな決定について、有人国境離島法に則った特別な配慮をお願いしたい」と要望した。
中村知事は「空路確保は県政にとっても重要だ」とした上で「来年度更新の1機に関しては、Q200型の中古導入を進めている。2機目はあり方研究会の動向を注視した上でORCとともに機種選定に努める」と同研究会が取りまとめた地域航空会社の経営統合・一社化、機材の統一化・共通化、人員の融通・確保などの方向性が今年中にも示されるのを待つ考えを示した。また「滑走路延長には莫大な費用が掛かる。第7次空港整備計画(平成8~14年度)では地元同意が得られず、壱岐空港の2千㍍滑走路化は頓挫した過去がある。(地元同意など)さまざまな事項で滑走路延長が必要不可欠であるという条件が整わなければ、公共事業として採択されることは難しい。現実的な形で空路存続を考えるべきだ」と必ずしも壱岐市民の意思が統一されていなかったことを指摘した。
だが白川市長は「確かに当時の石田町では反対意見が出たが、5か所の候補地があり、箱崎付近へ持って行こうという話にもなっていた。頓挫したのは、ジェットフォイルの就航で、福岡‐壱岐便から日本近距離航空が撤退したことが原因だ」と現在とは状況が違うことを説明。山本啓介県議も「私は第7次の時代を知らない人間だが、昔を振り返るだけでなく、未来へ向けて考えて行きたい。地域航空が統合してJAL系のATRを導入すれば1200㍍滑走路でも運航できるが、それにはライセンスの問題や、膨大な時間と費用が掛かる。その取り組みは進んでいない。滑走路延長という選択肢も排除はしないでもらいたい。研究会の動きを注視するだけでなく、国に対して働きかけていくことが必要だ」と白川市長を援護した。
知事との意見交換後、白川市長は「後継機種が決まってから、壱岐では使用できないことになったら、空路存続が厳しくなる。研究会の方向性、後継機種がどのようなものになっても対応できるように、滑走路延長へ向けて市空港整備促進期成会で機運を盛り上げ、県にも根気強く要望していく」と話した。