4日連続で開催された市議会による「市民の声を聴く会」は、残念ながら「盛況」とは言えなかった。郷ノ浦以外の3会場はいずれも20人強しか出席者がおらず、同じ人が何度も発言する姿が目立った。
市議会が市庁舎建設問題を特別委で検討するために、市民の意見を直接聞きたいという公聴会開催の意義は理解できるが、市から明確な提案すら出されていない段階で賛否を問われても、市民は答えに窮してしまう。
それは市が実施したアンケートにも同じことが言える。答申内容を示しただけで賛否を求めることは、市民に責任を転嫁したに過ぎない。しかもその提出について、告知放送は1度もなく、市ホームページにもまったく触れられず、庁舎に提出するための箱なども用意されていなかった。「実施した」という既成事実だけが欲しかったと思われても仕方がない。
何よりもひどいのは、7月18日に締め切って1ヶ月が経過したというのに、その結果について市からは何も発表されていないことだ。意見の集計には多少の時間が掛かったとしても、提出数についてすら市議会から報告があっただけで、公聴会に出席していない人は知る術がない。
真摯に市民の声が聴きたいと思っているのであれば、市議会の公聴会に市役所総務部の職員が総出で来場するべきだが、副市長と教育長が各1会場に顔を見せただけで、アンケートの責任者である総務部長は一度も姿を見せなかった。
市庁舎建設問題はもうタイムリミットが迫っている。市は、現時点で判明している現庁舎耐用年数予測、本庁方式による経費削減額、人口減少予測を踏まえた市庁舎規模とその建設費など、すべてのデータを開示した上で、建設場所も含めた市としての考え方を、早急に市民に示すべきだ。
市議会はそのデータ、意思について特別委で検討し、問題点を追及する。市民はその上で、建設の賛否を判断するというのが、本来あるべき道筋のはずだ。