社説

社説・朝鮮半島有事想定した対処は

4月から待望の国境離島新法が施行される。市民から見れば環境が厳しい離島住民に対しての国の保護策と映るかもしれないが、その根底にあるのは日本の領土保全。国境に面した離島の無人化を防止して、竹島のように他国から実効支配されないようにするための法律である。大規模な予算を確保してこのような新法が施行されるのは、いまそれだけ日本周辺で軍事的な緊張関係が高まっているからに他ならない。
北方領土、尖閣諸島、竹島と日本が抱える問題は数多くあるが、壱岐が直面するのはやはり朝鮮半島有事に際してだろう。金正男氏の殺害事件、弾道ミサイルの4連射と日本の排他的経済水域内への着弾、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備の決定、米韓軍事演習の実施、韓国大統領弾劾など、朝鮮半島の緊張は近来ないほどまでに高まっているように見える。
有事の際に、壱岐はどうなるのだろうか。国際政治に関して専門の知識はないが、日本がまったく被害を受けないことはあり得ないように思える。いつ北朝鮮の弾道ミサイルが飛んでくるか判らないし、それを迎撃できる日本のシステムは不十分。ミサイル飛来の可能性は、玄海原発の重大事故よりも現実味を帯びている。
朝鮮半島から近い壱岐・対馬には、北朝鮮と韓国のどちらが甚大な被害を受けたとしても、多くの難民、避難民が押し寄せる事態になるかもしれない。国交のない北朝鮮の難民の対処は大問題だし、竹島、慰安婦像、対馬仏像などの問題で決して良好な関係ではない韓国からの大量の避難民受け入れも、簡単なことではないだろう。韓国沿岸の原発が攻撃を受けた場合、放射能被害も深刻となる。
市長らの告訴問題追及や市教委の入札問題解明も市議会の重要な役割かもしれないが、複数の議員が同様の質問を繰り返すよりも、壱岐の存続そのものに関わるような国際問題について、行政の考え方、準備を問う質問もしてもらいたい。

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