第36回壱岐ナイター陸上競技大会が13日、大谷公園総合グラウンドで開催された。昨年は雨天で中止となっており、2年ぶりの開催。当初は6日開催の予定だったが雨天で順延となり、県高校新人大会(11~13日・諫早)と日程が重なったために高校生の出場はなかったが、強風のハンデの中、大会新記録が5種目で飛び出すハイレベルな戦いとなった。中学女子長距離界で県内トップクラスの実力を誇る田中亜可梨(芦辺2年)は千五百㍍で大会新の圧勝と貫禄を見せたのに続いて、妹の咲蘭(田河小4年)も八百㍍で優勝し、姉妹で大会を盛り上げた。
(成績は2面に掲載)
昨年はジュニアオリンピック全国大会に出場、今シーズンも8月24日の県中学新人大会八百㍍を制し、千五百㍍は4分53秒73で4位となるなど県下トップクラスの実力を誇る田中亜可梨は、中学2年千五百㍍を余裕で制した。スタートから先頭に立つと、そのままマイペースで後続を引き離す内容。
強風と、競り合う展開ではなかったため新人大会のタイムよりは大きく遅れたが、それでも5分09秒5は平成4年に松山晃子さん(渡良)がマークした5分11秒3を22年ぶりに1秒8上回る大会新となった。
田中亜は「5分前後を目標にしていました。最初は良いペースを刻めていましたが、バックストレッチの向かい風が強くて、最後はバテてしまいました」とタイムにはやや不満そうだったが、2位に15秒8もの大差をつけて強さを見せ付けた。
田中亜は中学2年百㍍でも14秒7の2位と健闘。スプリント能力の高さも見せて、今後のさらなる飛躍のきっかけとなる大会となった。
妹の咲蘭は小学4年八百㍍で、姉同様にスタートから先頭に立ち、2分55秒0で逃げ切った。大会記録には4秒1及ばなかったが、「2分55秒くらいで走ろうと思っていたので、力を出せました」とまさに精密機械のようなラップを刻んだ。
「お姉ちゃんからは、最初は2~3番手で抑え気味にして、ラスト200㍍まではできるだけ我慢してスパートするように、アドバイスをもらいました。最初から先頭に立ってしまいましたが、言われた通りには走れたと思います」と満足そうな表情を浮かべた。
姉と同じく百㍍では2位。さらに県ジュニア百㍍でも決勝に進出して16秒58で5位入賞を果たし、壱岐陸上界にまた楽しみな新星が誕生した。
短中距離の2冠を達成したのは大久保舞香(芦辺中3年)。今シーズンは2刀流を続けているが、トラック競技では中学の集大成となるこの大会で、最高の結果を出した。千五百㍍は大会記録にはわずかに及ばなかったものの、2位に11秒6差をつける楽勝。百㍍はスタートでやや遅れたものの、14秒0の優秀なタイムを記録した。
「駅伝の練習をしていたので千五百㍍は自信を持って臨みましたが、短距離は練習不足で、スタートのタイミングが合いませんでした。今後は短距離か中距離か、まだ決めていませんが、壱岐高に進学して陸上を続けるつもりです」と大久保は話した。
松本汰壱(盈科6年)は走り幅跳びと百㍍での2冠となった。走り幅跳びは4㍍85で、平成9年に西野亘さん(霞翠)が記録した4㍍57を28㌢も更新した。「練習で4㍍59を記録していたので、大会記録は更新できるかな、と思っていました。本番でも緊張しないのが良いところ、と父に言われています。中学に入ったら6㍍87の県中学記録の更新を目指したいです」と大きな夢を語った。
松本は2日後の15日に諫早市で行われた県ジュニア陸上でも走り幅跳び男子Cクラス(小学6年)で4位に入賞した。ハードなスケジュールもあって記録は4㍍54と伸びなかったが、優勝者の記録は4㍍84で、ナイター陸上の記録が出ていれば優勝できた計算になる。
スター候補生が続々と誕生し、陸上王国・壱岐の復活を予感させるナイター陸上となった。
★小学6年女子走り幅跳びを制した目良彩花(盈科) 4㍍が目標だったので3㍍71は残念でしたが、走り幅跳びの練習は今週2回やっただけだったので、もっと練習すれば踏み切りのタイミングもうまくなると思います。
★中学2年男子3千㍍で大会記録(9分51秒0=平成20年雨海光毅さん=勝本=)を更新した三浦壱太朗(郷ノ浦) 自己ベストではなかったのですが、大会新を狙っていたので、9分42秒6はうれしいです。
★小学5年女子八百㍍で好タイムをマークした松下真弓さん(田河) 最初は流れについていって、最後でスパートする目標通りのレースで、良いタイムが出ました。
★中学3年男子3千㍍を圧勝した雨海智大(勝本) 最初の入りは良かったのですが、2000㍍からが全然ダメで、目標の9分30秒台が出せませんでした。