1年ぶりに故郷・札幌に帰省した。春休み前で、雪まつりはすでに閉幕しており、道路の雪も解け始めていて、観光には決して適した時期ではないのだが、新千歳空港も札幌市街地も外国人観光客がすさまじい人数で、大混雑していた。
日本政府観光局がまとめた今年1月の訪日外客数は268万8100人で、前年同月比79・5%増。コロナ前の2019年同月とほぼ同数を記録した。海外を23地域に分けた集計で、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、フィリピン、豪州、米国、カナダ、メキシコ、中東の10地域で1月の過去最高を記録。韓国、台湾、豪州は単月過去最高を更新した。
コロナ禍が明けてこれまで自粛されていた観光需要が一気に爆発したこと、円安が進行していることが大きな要因だが、これまで訪日数がそれほど多くなかったメキシコ、中東、フィリピン、シンガポール、カナダなどからの急激な増加、台湾、香港の堅調な伸びが数字を押し上げている。
インバウンド需要は、今回のコロナ禍や国際情勢によって急激に変化するリスクがあるだけに、どこまで信頼できるかという問題点はあるものの、札幌や博多の街に溢れ返っている外国人を見ると、経済活性化のためには無視できないものになっている。飲食店や宿泊施設は外国人向けに対応する施設が多く、どこも大繁盛している。
本市の外国人宿泊客実数は、平成30年度1798人、令和元年度1870人だったが、コロナ禍により2年度178人、3年度133人、4年度292人とコロナ禍前の10分の1規模になっている。5年度は回復傾向にあるが、韓国からの観光客が戻りつつある対馬市(4年度911人)と比べてもかなり少ない。
マナー、言語、食事、施設、交通手段などインバウンド対策は簡単なものではないが、外国人に魅力的な観光資源は他の観光地に決して引けを取らない本市だけに、インバウンド誘致の本格的な取組を始めるべきではないだろうか。