石田町のIKI・BASE(イキベース)ゲストハウスに滞在中の南島原市出身のアーティスト、Takashi Yoshiokaさん(30)が21日、市民向けワークショップ「手で刷る写真」を開催した。
Yoshiokaさんは1800年代に英国で開発された「サイノアタイプ」と呼ばれる鉄塩の化学反応を利用した非銀塩写真のアナログプリントで作品づくりを行っている。イキベースに5月11日から長期滞在して壱岐の植物、貝殻、土などを採集し作品を創作、独特の青い発色が大きな特徴となっている。
仲間4人とワークショップに参加した本市に長期滞在中の佐藤敦美さん(31=東京都在住)は「自然の草花を採集して写真作品にするという発想がなかったので、採集する時から写真が出来上がるまで、ずっと楽しかった。太陽と草むらをイメージした作品にしようと思ったが、なかなか想像するのが難しかった。それでも参加者のそれぞれの個性が出ている作品になったと思う」と初めての体験を楽しんだ。
Yoshiokaさんは「デジタル写真の時代になり、スマホで撮影しても誰もが簡単にきれいな写真が撮れるのが当たり前になった。だが画一化されたデジタルプリントにはない、アナログプリントならではの質感、画影、余韻などの「身体性」を追い求める古典的なサイノアタイプに興味を持った。壱岐には多くの素材があり、この大自然を日本的なワビ、サビで表現しようと思って作品作りのため滞在している。日光写真の要領で、誰でも簡単に楽しむことができるので、多くの人に写真の奥深さを知ってもらいたい」と話した。
Yoshiokaさんが壱岐で創作した作品は、近く屋外での写真展開催を企画している。