社説

子ども議会復活を望む。

毎年、中学校の夏休みの最後に行われていた「子ども議会」が、今年は開催されないことになった。

子ども議会は、市内4中学校の代表者各4人、計16人が議員役を務め、実際に議場で市執行部に対して一般質問をする行事で、2014年から開始。全体テーマは「私たちのまちを良くするために」で、具体的な質問内容は各校の生徒が市役所などを訪れて事前に情報収集し、考案する。

昨年は、郷ノ浦中は大谷グラウンドの全天候型化やクライミングなど新たなスポーツ施設設置、勝本中は観光客に対して浴衣の貸し出しや着付け、芦辺中は保育園の待機児童解消のために情報のホームページ掲載や企業へのフレックスタイム制導入促進、石田中は高齢者と学生の交流の場設置や高齢者を講師とした農業研修センターの設立などについて、提案型の貴重な質問を行った。

もちろん、現役議員と違い市政に精通しているわけではなく、準備期間も制限されるだけに、情報収集が不足しているなど十分とは言えない質問もあったが、若者ならではの発想にハッとさせられることも多くあった。何よりも、中学生が政治について一生懸命に取り組んでいる姿には感動するし、市執行部もできる限り判りやすく答弁していた。

本来、市議会は市民誰でもが理解できる内容でなければならないはず。議員も、市執行部も双方だけが理解するのではなく、市民に向けて話をしていなくてはならないはずだが、実際には詳細な説明は非公開の全員協議会で行い、公開される本会議は難解な形式的な言葉の応酬になっているケースが多い。子ども議会こそ本来の議会の姿にさえ思える。

教師・生徒の多忙さ、議会と学校の日程調整の難しさなど中止には様々な理由があったようだが、16年からの選挙権年齢引き下げや、高校卒業後に島外転出する若者が故郷に興味を抱いてUターンしてもらうためにも、若いうちから市政に触れる機会は非常に貴重なはずだ。早急な復活を強く望んでいる。

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