社説

論議が必要な小学校統廃合。

文部科学省の調査によると1989年度に2万4608校だった公立小学校が、2018年度には1万9591校に20%減少した。小学校の統廃合は全国で起きているが、児童数はこの期間に950万人から631万人へ約34%も減少している。少子化・人口減少により児童数は大きく減少を続けているが、統廃合はその減少割合ほどは進んでいない。

公立小中学校は法令で標準規模が定められている。集団の中で多様な考えに触れ切磋琢磨すること、専門の教科担任の配置による教育の質の確保、幅広い部活動から児童が選択できることなどから、1校で一定の生徒数を確保することが重要だと考えられ、学校教育法施行規則では小中学校とも12学級以上18学級以下が標準とされている。だが18年度に公立小学校のうち標準規模を下回っている小学校は8423校と約43%もある。このうち1825校は5学級以下だった。本市の場合も、盈科小だけが12学級で標準規模をクリアしているが、他の17校は下回っていて、6校が5学級以下になっている。

小学校の統廃合が進まない大きな理由として「地域に小学校がなくなると、地域が衰退してしまう」ということが全国的にも最大の理由になっている。それは本市もまったく同様だろう。市庁舎の建設が争点となった時にも、住民投票で反対多数となったのは「庁舎がなくなったら地域が廃れてしまう」ということが最大の理由だった。地域に小学校がなくなり、子どもたちの笑い声が聞こえなくなったら、地域は元気をなくしてしまう。小学校を通しての結びつきが強い土地柄だけになおさらだ。

だが子どもたちのことを第一に考えたら、将来にわたって最も心の拠り所となる小学校の同級生が数人になってしまうことは、人生にとっての大きな損失になりかねない。小学校単位で組織されるまちづくり協議会では、将来的に避けて通れないこの小学校統廃合問題を、まずは真剣に論議していくべきではないだろうか。

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