社説

社説 マスコミを上手く活用する方策を

4月12日に市内で開催された樋渡啓祐元武雄市長の講演は、2時間があっという間だった。元官僚、市長とはとても思えない大胆な発想と過激な発言のオンパレードで、とにかく面白かった。
「前例がないことはしない」が美学と教わってきている通常の役人にとっては受け入れ難い話ばかりで、「敵が多い」と言うのもうなずけるものだったが、その人心掌握術はすごい。「樋渡教」という言葉があるが、出席者の多くは魅入られたのではないだろうか。
このような市長が誕生した当時の武雄市は、大混乱だったことだろう。これまでの慣習を根底から覆す施策ばかりなのだから、市役所職員の苦労が想像できる。だが樋渡さんは市長として、確かな数字を残した。市の借金は大きく減少し、人口減少もほぼストップがかかっている。数字を示されたら嫌樋渡派も何も言えない。
その話の中にはいろいろと参考になることがあったが、マスコミ関係者としてもっとも印象に残っている言葉は「マスコミをうまく利用する」だった。「素晴らしいことをやっても、報道されなかったら、それはやっていないことに等しい」「マスコミは異色な組み合わせに飛びついてくる」「見出しになるようなことをやり、その見出しを記者と一緒に考える」など様々なマスコミ活用法を語った。
「報道されなければ意味がない」という言葉に反感を抱く人がいるだろうが、樋渡さんは「マスコミ」=「市民」と考えている。マスコミの先には市民がいる。マスコミに語ること、マスコミに対しての態度は、そのまま市民に対しての言葉、態度である、という自覚に基づいている。
その面で、壱岐市で開催されるイベントでのマスコミ対応は改善の余地が大きい。地元記者はその対応にもう慣れてしまったが、本土から来る記者からの不満をよく耳にする。媚を売る必要はないが、マスコミが求める十分な情報提供を、まずはお願いしたい。一方で、壱岐に不利益をもたらすような虚偽の報道に関しては断固たる対応を行うこともまた、マスコミの活用法である。

 

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