社説

UIターン者の立場で施策を

syasetsu 壱岐市の振興にとってもっとも重要な政策課題は「定住促進」だろう。昭和30年5万1765人とピークを迎えた人口は、平成22年の国勢調査では2万9377人。白川博一市長は3月市議会の施政方針で「人口減少対策会議を立ち上げる」と述べ、市はUIターン推進を図るため「空き家・空き地情報の提供」「住居・仕事探し、暮らし体験活動のための滞在費一部助成」を行っている。
空き家バンクは現在4軒が登録されているが、そのうち3軒は改修が必要。それ以前に、壱岐での新生活を送るのに「住みたい」と思える家とは到底思えない。滞在費助成は1泊につき上限2千円だが、計画書、計算書、報告書、住民票、税金未滞納証明などの書類が必要で、かなり面倒な手続きとなる。UIターン者を大歓迎しているようには見えない。
UIターン者には様々な壁がある。壱岐で新生活を始めるため住宅を購入しようとしても、転職して壱岐に来る場合、勤続年数が「0年」となり、住宅ローンを組むことは難しい。
十八、親和の地元銀行を除いて、多くの銀行の住宅ローンはその対象が「離島を除く」となっていることはあまり知られていない。明確な理由は掲示されていないが、担保物件調査のための手間がかかることなどが、その理由だと考えられる。
市民の場合は、JAバンク、マリンバンク、商工会ローンなどで住宅ローンを組みことが比較的容易なようだが、UIターン者が利用するのは難しい。
市が住宅の斡旋をすることは、民間の不動産業者を圧迫することになりかねないので、現在の空き家バンクを拡充することは難しいのかもしれない。だが市がUIターン者に対して住宅購入資金、リフォーム資金を貸し出すことは、それほど難しいことではないはずだ。
土地・家を購入しようというUIターン希望者は、そのまま永住する可能性が高い。彼らが何を求めているのか、何に困っているのかを理解しなければ、真の定住促進は図れない。

関連記事

  1. 人口減少でも生き残れる施策を
  2. 観光客の立場に立ったブランを
  3. 交流人口拡大策で1位を目指せ。
  4. 壱岐で子育てしたいと思える計画に
  5. 社説・いまこそ戦略的な観光計画を
  6. 用具支援でスポーツ振興を。
  7. 人生百年時代の老い方。
  8. 社説・アイデア募集には報酬を

おすすめ記事

  1. 県ドクターヘリ再開時期未定 大石知事「安全に万全を期す」 当面は県防災 ヘリで搬送
  2. 1尺玉で花火をスケールアップ 壱岐尺玉実行委員会が設立
  3. ニセ電話詐欺を未然に防ぐ ファミマの2店員に感謝状

歴史・自然

PAGE TOP