空き家対策の特別措置法が5月26日に全面施行された。市区町村は治安や防災上の問題が懸念される「特定空き家」の所有者に対して、撤去や修繕を勧告することができ、勧告を受けた空き家が建つ土地は固定資産税の優遇措置が受けられなくなり、最大で6倍の税額が課せられる。また命令違反には50万円以下の過料が科され、自治体による強制撤去も可能となった。
政府は同日、「特定空き家」に関するガイドラインを公表した。「倒壊の恐れ」だけでなく、「屋根・外壁が脱落・飛散の恐れ」「浄化槽の放置、排水の流出による臭気」「ゴミの放置」「景観ルールに著しく適合していない」「立木の枝が道路にはみ出し歩行者の通行を妨げている」「シロアリの大量発生」など様々な状態が指定の条件になることが明文化された。数年間以上住んでいない空き家の多くが、この状態に認定されることだろう。
全国の空き家率は13・5%、長崎県は15・4%で、人口減少のため今後増加の一途を辿ることが予想されている。壱岐市の正式な調査結果はまだないが、すでに20%近い数値になっていることが予想できる。塩害、海風の影響で傷んでいる家も多く「特定空き家」の比率はかなり高いはずだ。石田町に多く見られる別荘の中にも、この数年間は使用された形跡がなく、荒れ放題になっている建物も多く見られる。
この特措法を積極的に活用して、老朽化した建物は撤去し、また使用できる建物についてはUIターン者に提供するなど有効活用することに、早急に着手してもらいたい。
もちろんその第1弾となるのは郷ノ浦町中心部の「交通ビル」である。外壁の落下でいつ大きな事故が起こるか判らない状態で放置しているのは、いくら複雑な事情があるにせよ、行政の怠慢といわれても仕方がない。税額6倍、命令違反の罰金を所有者に突きつけて、一刻も早く撤去を行うべきだ。