JA壱岐市の定例12月子牛市が1、2日の2日間、芦辺町の家畜市場で開かれ、平均価格は84万1952円で、前回の10月市場と比較して108・9%、約6万9千円の上昇となった。前市場から平均価格が上昇したのは、歴代最高価格を記録した今年4月市場以来。84万円台は6月市場以来で、この半年間下落が続いていた子牛価格に、ようやく落ち着きが見られるようになった。取引頭数は749頭(牝349、去勢400)で、平均価格は牝が73万9788円(前回68万5626円)、去勢が93万1090円(同85万1888円)だった。
子牛取引のため家畜市場を訪れていた繁殖農家に、安ど感が広がった。初日は前回比8・4%増。通常はやや下落することが多い2日目も前回比9・7%増と価格が上がった。購買者からは「もっと買いたかった」との声が漏れていた。今年4月市場で平均価格90万4032円を記録したものの、前回の10月市場では77万3079円と昨年2月以来の70万円台となり、わずか半年で13万円以上も急激に下落した。2年前との比較ではまだ高額でも、高齢者が多い繁殖農家にとっては、価格が安定することを何よりも望んでいた。
JA壱岐市・川﨑裕司組合長は「12月市場は需要期のため例年、高値で終わることが多いが、今回は予想以上の上昇だった。県の肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)の実施も影響しており、これで下落傾向が底をついたとはまだ言えないが、良い牛を出せばそれなりの価格で売れるという手応えは感じた。今春まではどんな牛でも売れていたが、より品質が問われる時代になってくる」と感想を述べた。
今後は各種施策の効果も出てくる。川﨑組合長は「べべんこファームなど新規参入があるし、野元牧場なども繁殖増頭に取り組んでいる。高齢化、後継者不足での廃業はある程度仕方がないが、増頭対策で何とかその穴を埋めていけそうだ。購買者の誘致活動も実を結び、熊本、宮崎など3社が新たに来てくれた。全国和牛共進会に出場した『金太郎3』産子の評判も広がっている。高値で購買した肥育業者は今後厳しい期間が続くが、何とか乗り切ってもらいたい」と明るい材料が多いことを強調した。
米国抜きで11か国によるTPPの新協定が大筋合意となり、今後牛肉価格などにどのように影響してくるか、まだ先が見通せない状況が続くが、壱岐の主要産業である和牛に関しては、品質向上と増頭対策を続けていくことがこれまで以上に重要になることを示した2017年子牛市場となった。