市中学校体育連盟駅伝競走大会(男子54回、女子37回)が5日、筒城浜ふれあい広場ジョギングコース(1周1000㍍)の周回コース(男子6区間20㌔、女子5区間12㌔)で開催され、4校8チームが出場。男子は郷ノ浦Aが2年ぶり優勝。女子は郷ノ浦Aが3年連続制覇を果たした。男子2位勝本A、女子2位芦辺Aとともに、4チームが11月9日に諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で開かれる県大会への出場権を獲得した。昨年からコース変更されたこともあったが、中学生ランナーたちの実力が急激に高まっていることで、風速7㍍の悪条件にも関わらず、男子は6区間中5区間で、女子は5区間すべてで区間新記録が樹立される記録づくめの大会となった。
アンカーで逆転、男子・郷ノ浦A
男子は郷ノ浦Aと勝本Aが、最後まで手に汗握る大激戦を演じた。各校のエース格が顔を揃えた1区で、県中総体共通三千㍍4位の勝本A・渡野幹大(3年)が圧巻の走りを見せた。昨年の1区は郷ノ浦A・加藤宗一郎(3年)に6秒差の13分10秒で2位だったが、今年はそのタイムを一気に26秒も短縮する12分44秒で、加藤宗に逆に19秒差をつけた。
渡野は「目標のタイムは設定せず、とにかく貯金(2位以下との差)を作るのが1走の役割と考えた。スタミナの温存など考えずに、最初から思い切り飛ばした」というフォア・ザ・チームの精神が記録を生んだ。
2区は県中総体共通八百㍍で3年生を相手に4位に食い込んだ郷ノ浦A・竹口然(2年)が持ち前のスピードを発揮。2㌔過ぎで勝本A・樋口颯(3年)を捉えて逆転し、9分42秒という3㌔区間全体の最高タイムをマークした。
竹口は「絶対に抜いてやる、という気持ちで前を追った。9分30~40秒を想定していたので少し遅れたが、トップでたすきを繋げて良かった」と安どの表情を見せた。だが樋口も一旦抜かれた後も最後まで粘って郷ノ浦Aと5秒差で繋いだことが、その後の激戦に繋がった。
3区は両チームともほぼ互角の走りで順位は変わらなかったが、4区の勝本A・川添友也(2年)が2㌔付近で郷ノ浦Aに並び、3周目で郷ノ浦Aを突き放す9分56秒の区間新で再びトップ。川添は「たすきを受けた時は6秒差だったが、最初から抜くと強い風の抵抗を受けるので、2周目まではじっくりと我慢した。3周目に突き放すのは作戦通りでうまくいった」と会心のレース運びで郷ノ浦Aに27秒差をつけた。
5区も両チームの差はほぼなく、勝負はアンカーに。29秒差でトップに立つ勝本Aの下條豊祈(2年)が必死に逃げる。それを昨年2区で区間賞を獲得するなど実績では上位の郷ノ浦A・加藤仁一郎(3年)が1周ごとに徐々に差を詰めて、3周目の後半で遂に逆転した。
最終4周目ではさらに差を広げるかと思われたが、ここから下條が驚異的な粘りを見せた。抜かれた後も加藤仁の背中にピッタリと張り付く。ゴール前で力尽きて5秒差がついたが、最後までどちらが勝つか判らない激戦に、応援の全校生徒も熱狂した。
加藤仁は「抜くことに懸命だったので、抜いた後が苦しかった。後ろを振り返る余裕はなかったが、声援の大きさで迫っているのは判っていた。その声援に力を借りることができた。抜きつ抜かれつでつないできたたすきだったので、1位でゴールできて嬉しい」と激戦を振り返った。下條は「1位でたすきを受けたのに、負けてしまって悔しい。でも県大会へ行けるので、この借りは返したい」と前を向いた。
層の厚さ見せた、女子・郷ノ浦A
女子の1区は、県内トップクラスのランナーが揃った。郷ノ浦A・末永恋菜(3年)はJO選考女子三千㍍であと1秒3差でジュニアオリンピック出場を逃した。芦辺A・田中咲蘭(1年)は九州中学八百㍍で5位。勝本A・中村澪奈(3年)は昨年1区の区間賞。スタートから3人の激しい競り合いが続いたが、3周目に入ってやや差がついた。
昨年の区間記録を39秒も更新して、10分22秒でトップでたすきを繋いだのは田中だった。「風が強かったのでなるべく前に出たくなかったが、ペースが遅かったし、私は1年なので思い切って行った。3㌔は大会では初めて走り不安もあったが、最後までしっかり走り切れて良かった」と若い力を見せた。
末永恋は「負けたのは悔しいが、田中さんはやはりすごい。必ず2走以降で逆転してくれると信じていたので、田中さんに離されないように必死について行った」と2走の妹・末永笑愛(2年)にたすきを託した。
2区はその郷ノ浦A・末永笑が2㌔区間最高となる7分04秒ですぐに逆転した。末永笑は「姉から初めて受けたたすきは、その重みが伝わってきた。自分の力を出し切れた」と芦辺Aに7秒差をつけた走りを振り返った。
郷ノ浦Aは3区德島未羽(2年)が実績上位の芦辺A、勝本Aのランナーとほぼ互角の走りを見せ、4区戎谷恵羽(2年)は区間賞をマークして、2位に10秒差でアンカーに繋いだ。6区山口凜(2年)も区間賞の10分45秒。2位に34秒差をつけて力の違いを見せつけた。山口は「めちゃ、嬉しい。先輩たちの走りを無駄にしてはいけないと思っていた」とアンカーの重責を見事に果たした。
2位争いは最後までもつれた。4区終了時点で勝本Aが17秒のリードだったが、芦辺Aのアンカーは昨年1年ながら1区に起用されて11分15秒の好タイムをマークした大井陽香理(2年)。勝本A・松崎真子(2年)も懸命に粘ったが、大井は1周ごとに差を詰めて、ラスト300㍍地点で逆転し、県大会切符を手にした。
大井は「昨年は勝本に負けて県大会に行けなかったので、今年は何としても行きたかった。ギリギリまで抜くのを我慢して、勝負にこだわるレースをした」と念願の県大会出場を勝ち取り、笑顔を見せた。
昨年の県大会は男子郷ノ浦が17位、芦辺が20位。女子勝本が13位、郷ノ浦が19位と、4チームとも思ったような力を出せなかった。だが区間新が男子で計6、女子で計12も飛び出したように、昨年からのレベルアップは著しい。どのチームもベスト10以内が狙える強力布陣で県大会に臨めそうだ。