一支国博物館の第35回特別企画展「文様の美展~壱岐の紺屋と染型紙~」が5月26日に1階テーマ展示室で開幕した。7月9日まで、入場無料。
「紺屋」と呼ばれる藍染め職人が手作業で染める染物屋は、かつて各町に1軒程度は営業しており、壱岐でも郷ノ浦の目良新紺屋(現在の目良新光屋=酒販業)を中心に全盛期には島内に15軒程度があったとの資料が残っている。だが昭和初期には最後の1軒も閉店し、いまではその存在を知る人はほとんどいなくなっていることから、同館の河合恭典学芸員が、島内に残されている資料を探し当て、今回の展示を企画した。
河合学芸員は「最初は手探りだったが、壱岐には“紺屋町”という住所が残っているので、そこで聞き取り調査を行ったところ、目良新光屋に資料が残っていた。また市教委の倉庫の奥からは美術的価値が高い型紙78枚や、大量の家紋の型紙を発見した。これを見つけた時は鳥肌が立った」と話した。
展示は、市教委に保存されていた30点、本市の友好都市である朝来市から借りた7点など計40点の型紙や、家紋型紙104点、型紙で染色された当時の着物、他国との取引台帳などの資料を初めて公開した。
伊勢、京都などで製作されたと思われる型紙は、渋紙に繊細な彫刻を施したまさに芸術作品で、壱岐の紺屋の歴史だけでなく、染物文化の奥深さを垣間見ることができる。
同館では4日午後2時からに河合学芸員が講師を務める関連講座、24日午後2時から型紙づくりを体験できる「紋きり型つくり」(参加料100円)を開催する。