市議会は12日、平成26年子ども議会を開催した。未来を担う子どもたちが市議会の模擬体験を通じて、市民生活と行政との関わりや市が直面する様々な課題について考え、議会制民主主義への理解を深めながら地方自治の仕組みについて学習することが目的。これまで単一の小学校による模擬議会は行われていたが、市内全中学校を対象とした子ども議会の開催は初めて。
子ども議員は各中学から生徒会役員など4人ずつが選出され、計16人が参加。実際の議会同様に、市の三役、各部長らに一般質問、提案を行い、議員発議の「壱岐市子ども宣言」を決議した。
郷ノ浦中は、旧中学校の校舎・体育館・グラウンド設備の活用、郷ノ浦の街中にある空き店舗の利用、観光客のリピート率を高め滞在日数を増やす方法、人口減少対策などついての市の取り組みを質問。中学跡地はスポーツ施設として活用し島外スポーツチームの合宿所や、「自然の家」「郷土文化体験館」として活用する方法、空き店舗に中学生の手作り地図やポスターを掲示するアイデア、リピート率を高めるためにポイント制を導入して特典を付与することなどを提言した。
勝本中は、勝本町にも新鮮な野菜や海産物などを販売する店舗の設置、壱岐の食材を使ったアイスクリーム・パン・ピザなどの開発、商店街で使用できるプリペイドカードの導入について可能かどうか質問。「これからの壱岐市について」をテーマに3年生全員を対象に行ったアンケート結果を掲示して、天候に左右されない農業・育てて増やす漁業を取り入れる人に対しての補助金制度と、島外からの体験ツアーの実施、壱岐ブランドの強化などについて提言した。
芦辺中は、高齢者が豊かに暮らすために市が行っている取り組みについて、テーマを絞って質問。①中学生が高齢者の自宅や老人福祉施設を訪問し、高齢者の知恵を教えてもらったり、昔遊びを一緒にやることを通して元気にしたい②20年間活動を続けている芦辺町の団体「はまなす」のように、空き缶拾いなど地域のための活動に中学生が参加することで、高齢者との触れ合いを図り地域に貢献する、との2点を提言した。
石田中は、シャッター通りが目立つ商店街の活性化、自動販売機横にゴミ箱が設置されていない点、今後の小学校・高校の統廃合計画、介護施設で働く人の現状などについて質問。景観を良くするために閉まっている商店街のシャッターに絵を描いて通りのイメージを変えること、中学校跡地を活用して介護福祉士、農業・水産の専門学校など人材育成施設を作り、各事業所や市役所への就職につなげることなどを提言した。
また芦辺中・米田智愛(ちなり)さん(3年)が提出者となり、①明るく元気なあいさつを通して、地域のコミュニケーションを築きます②自然を守り、住みよいまちづくりを進めるためにできることから始めます③夢を持ち、将来地域に貢献できる気持ちを大切にします、の3点を謳った「壱岐市子ども宣言」を発議し、全会一致で採択した。
米田さんは「宣言を読み上げるのは緊張しましたが、学校とは違った貴重な体験ができました。他の中学校からの提言に、なるほど、と共感できました」と1か月近くの準備で臨んだ子ども議会を、中学生活の貴重な思い出とした。
中学生からの質問に市執行部は、県に問い合わせるなどして丁寧な答弁を行った。白川博一市長は「壱岐リピーターへのポイント制導入など、中学生ならではの斬新なアイデアを出してくれた。ぜひ検討したい」などと賞賛。久保田良和教育長は「25歳になったら、市長にも、市議会議員にも立候補できる。ぜひ、この議場に戻ってきてくれることを楽しみにしている」と生徒たちに市制への参加を促した。