社説

財政削減に切り込んだ提案を

市長選立候補予定者のマニフェストが出揃いつつある。もちろんどの政策も実現できれば素晴らしいものだが、やはり気になるのは財源で、ふるさと納税と観光振興が主に取り上げられている。
ふるさと納税で令和4年度全国トップの宮崎県都城市は約196億円もの寄付金を集めた。それに対して本市は約7億4千万円。5年度は8億円を超える見込みだが、それでも都城市の20分の1規模だ。都城市の人口は約16万人、2位で194億円を集めた北海道紋別市の人口は本市より少ない2万1千人。3位北海道根室市は2万3千人、4位北海道白糠町に至っては7千人しかいない小規模自治体だ。魅力のある返礼品を集めれば、本市も寄付額を大幅増加できる可能性はある。
だが、どの自治体も同じことを考えているはずだし、税金流出に悩む都市部自治体の反対もあり、この制度がいつまで続くか判らず、当てにしづらい面もある。寄付額ばかりが注目されるが、壱岐市民が他の自治体に寄付をすれば、それだけ市税は減少することにもなる。自分の住む自治体のことを考えてふるさと納税に参加していない人に対して何も感謝がなければ、不公平感も出てくる。
観光客の増加も、これだけの資源を持つ本市なら理論上は可能だが、ハイシーズンはすでにホテル、レンタカー、食事処などが満杯に近い。コロナ禍に従業員を減らした施設が多くあり、客室は空いていても宿泊できないケースもある。オフシーズンの魅力創出といっても、これまで様々な取組が行われてきたがあまり実を結んではいないように、すぐに改革できるものではなく、直近の財源には結びつきにくい。
早急に新たな施策に取り組むには、やはり徹底的な財政削減が最も実現性が高い手段だと思われる。市長候補としては言いにくい面があるかもしれないが、具体的にどの事業を削減して、どの程度の予算を浮かせ、新しい施策に取り組むのかを、できるだけ具体的に説明してもらいたいと思う。

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