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福岡市が博多駅~博多港間のロープウェー計画断念。本市の観光誘客にも大きな痛手。

福岡市議会は13日の3月議会最終本会議で、博多駅と博多港を結ぶロープウェー計画を検討する5千万円の予算を削減した、新年度予算案の修正案を可決。市議会後に記者会見した高島宗一郎市長は「ロープウェー計画を検討することは、きっぱりとやめる」と正式に計画断念を表明した。博多駅と博多港を結ぶ交通路の整備は、壱岐市への誘客促進、博多駅から各地へ向かう壱岐市民の足としても重要なものだっただけに、福岡市の計画断念は本市にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

ロープウェー構想は、JR博多駅と博多港エリアを結ぶ大博通り上空の約2㌔の区間で想定されていた。福岡市は博多港ウォーターフロント地区を博多、天神に次ぐ第3の核と位置付け、クルーズ船ターミナル、大型コンベンション機能を持つ新ホールの建設、高級ホテルの誘致など再整備する方針を持っていた。将来的には1日約16万人が周辺と中心部を往来するため、1時間当たり片道1400~2千人を運ぶことができる新交通システムが必要と想定。交通渋滞緩和のためにロープウェー、モノレール、地下鉄などを比較し、地下鉄の2分の1の輸送力で、事業費は7分の1で済み、移動手段だけでなくシンガポールやバルセロナのように観光としても注目度が高いロープウェーを最良の方法として提案。高島市長は昨年11月の市長選で公約に掲げた。

2019年度当初予算案に採算性や事業手法などの検討費を盛り込んだが、市議会側は「議会での議論が不十分」「ロープウェーに絞った検討は拙速」などと反発。最大会派の自民党市議団は当初予算案から検討費を削除し、予備費に移し替える修正案を提案。この修正案が39対20の賛成多数で可決された。高島市長は「博多港ウォーターフロントの再開発は進んでおらず、市民に必要性が理解されていない。開発は10年、20年と長期になるので、交通対策は市民に共感してもらえるタイミングで行えばいい」とロープウェー案を白紙撤回した。

福岡市と、福岡から直行で行ける壱岐など九州5離島は、平成28年から連携して「Re島プロジェクト」に取り組んでいる。特に福岡を経由した訪日客などの誘致は壱岐市にとって大きな観光振興策となるが、福岡空港、博多駅からの交通手段がバス、タクシーだけだと、交通渋滞でタイムスケジュールが狂ったり、大きなキャリーバックでの移動が不便なことなどが誘客拡大のネックになっていた。それだけにロープウェー案は本市にとっても待望されており、壱岐市議会で白川博一市長も「ロープウェーが実現すれば、本市観光の大きな起爆剤になる」と期待感を露わにしていた。計画の白紙撤回を聞いた白川市長は「他の自治体のことなので私がどうこう言える立場にはないが、非常に残念というのが率直な感想だ」と肩を落とした。

更新時期が近づいてきている九州郵船のジェットフォイルは新船建造の目途が立っておらず、同様に更新時期を迎えているORCの航空機も、壱岐空港滑走路延長の県への訴えは難航。現滑走路でも離発着できるATR社航空機への切り替えもすんなりとは進みそうにない。観光での地域創生を目指す本市にとって、博多港への移動手段を含めた交通アクセスの整備は、今後も大きな課題になりそうだ。

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