第61回壱岐市美術展覧会(市美術協会主催、17~19日・壱岐の島ホール)の表彰式が19日に行われた。出展数は絵画27人45点、彫塑工芸16人27点、書24人26点、写真17人34点の計84人132点。全部門の中から最高賞にあたる「山口幹雄賞」は彫塑工芸部門の工芸作品「海中から地上の園へ」を出展した石田町の梶田聖子さん(59)が受賞した。
梶田さんの作品は、自宅近くの大浜海水浴場で10年間にわたって拾い集めた貝殻を使って、キャンバスに600個程度の花びらを描いた。「花びら1つに貝殻数十枚を使うので、何枚使ったのか判らないくらい。貼っていく作業は20日間程度だが、毎晩ベッドの中でどのようなデザインにしようかイメージを膨らませるのが楽しかった」と作品作りに没頭した期間を振り返った。花びらは様々な色に仕上げてグラデーションを表現しているが、色を付けているわけではなく、すべて貝殻本来の色を利用した。砂浜をイメージした部分も貝殻を砕いて砂に見せている。「せっかく美しい貝殻の色なので、そのまま表現したかった。いままで箱の中で眠らせていたのでもったいないと思い、作品にしてみた」と貝殻を使った初作品が多くの人に見られていることを喜んだ。
貝殻集めは朝の散歩の時に行っているが、集め方にはコツがある。「嵐の後が一番多い。季節はこれから冬にかけて、海が荒れている時期、しかも大潮の時が最適」とこれからが収集時期で、来年の作品のための貝殻集めをこれから始める。市美術展には7年前から工芸作品を出展しており「これまで市長賞、美術協会賞などは頂いていたので、今年は知事賞が欲しいと思っていたら、飛び越してしまった。山口幹雄賞なんてビックリ。恐れ多いことです」と最高賞受賞に驚きの表情を見せた。
【絵画】▽県知事賞 渡野栄治▽市長賞 吉田律子▽市教育委員会賞 豊坂元子▽長崎新聞社賞 久原富士枝▽壱岐文化協会賞 土谷澄子▽市美術協会賞 村田貴美代、植村多恵子、長嶋清亮、松本美智代、末永利代子、松島政子、宮津富子、大畑賢一郎
【彫塑・工芸】▽山口幹雄賞 梶田聖子▽県知事賞 目良信子▽市長賞 小川良介▽市教育委員会賞 品川茂美▽長崎新聞社賞 山川伊代子▽壱岐文化協会賞 深見玲子▽市美術協会賞 大川洋子、吉永昭子
【書】▽県知事賞 中村遼太▽市長賞 川久保瑠未▽市教育委員会賞 林田由美▽壱岐新報社賞 境厚子▽壱岐文化協会賞 西純子▽市美術協会賞 吉野俶子、草場邦子、宝亀智津子、瀬川美枝子、岩永里美、長嶋竜太郎
【写真】▽県知事賞 辻川福市▽市長賞 牧山武▽市教育委員会賞 作元順子▽壱岐新聞社賞 土谷つや子▽壱岐文化協会賞 作元正隆▽市美術協会賞 立石育代、圓田諭、川畑幸則、長嶋保代