10月2日開催予定の壱岐ウルトラマラソン大会が、実施へ向けて動き出した。大会委員会、実行委員会も正式にスタートした。
海が望める景色、信号がほとんどなく、幹線道路以外は交通量が少ない壱岐島は、陸上ロードレースに向いている。壱岐商高陸上部が全国高校女子駅伝に4年連続出場。それがきっかけに漫画「奈緒子」のモデルとなり、映画化もされた。市民も陸上競技に親しみがあり、小・中学校や地域の駅伝大会も盛り上がりを見せている。
1月の壱岐の島新春マラソン大会に来島した五輪ランナー弘山晴美さんも「島のほとんどの子どもが走っているのではないかと思うほど。こんな大会は見たことがない」と驚いていた。本市には大きな大会を開く下地は整っている。
だが残り8か月で万全な準備をするのは、とてつもなく大変だ。エイドステーションの看護スタッフ・給水所のボランティア確保、トイレやコース誘導・距離表示の整備、小学校運動会の日程調整など課題は山ほどある。プレ大会を開く時間的余裕もない。
特に「暗闇対策」は深刻で、当日の日出は午前6時17分、日没は午後6時5分。照明なしで作業ができる「市民薄明」は午前5時52分、午後6時30分。百㌔は午前5時30分スタート、最終ゴールは午後7時30分で、スタート後、ゴール前とも暗闇になる。ランナーの安全確保はもちろんのことだが、大会をテレビ、陸上雑誌などに取り上げてもらい壱岐をPRしたいと思っても、絵になるスタートとゴールが暗いとインパクトが弱い。
高い旅費とエントリー料金をかけて全国の大会に出場するランナーたちはシビアだ。大会の不備はランナー専門のネットサイトに評判が書き込まれ、翌年の大会出場者は激減する。1~2回の開催で中止に追い込まれた大会も多い。
市、観光連盟スタッフは大会準備に専従させ、旅費の補助や参加費軽減など思い切った予算の使い方をしないと、かえって壱岐の評判を落とす結果になりかねない。