4月22日に東京都の御蔵島、神津島、式根島、新島の4島で起こったNTT東日本の海底ケーブル断線事故は、全国ニュースで大きく報じられることはなかったが、離島民にとっては極めて深刻な事故だった。4島では1500回線に影響が出て、光インターネット回線が使用できなくなったばかりか、ひかり電話も950回線で不通。ゆうちょ銀行のATMまで一時的に使用できなくなった。
通信障害は5月3日にようやく復旧したが、2週間近くにわたってインターネット回線が使用できなかったことは「不便」を通り越して「災害」のレベルだったはずだ。いまや光ケーブルは水道、電気などと同様なライフラインを担っているのだ。この事故は壱岐市にとっても対岸の火事ではない。今回の4島は最大規模の新島でも人口3千人弱だが、事故が起こりうる状況は人口2万6千人の壱岐市でもほぼ同様である。何かの事故で海底ケーブルが切断されることは予測できることだが、その復旧に2週間もの時間を要したら、市民生活のみならず、すべての産業がストップしかねないほど現代社会はICTに依存している。
今年3月まで、市ケーブルテレビ指定管理者の変更問題で、市は大きく揺れた。市、指定管理者それぞれの言い分はあるだろうが、多くの市民、事業所が利用している光回線が一時的であっても使用が難しくなることがいかに大きな影響を与えるかを、市が十分理解していなかったことが、契約事項の緻密さに欠けた要因ではなかったか。テレビ番組制作はともかくとして、市民のライフラインとなっている光回線の管理をすべて民間業者に任せてしまっていいのだろうか。指定管理制度には向かない事業だと思えてならない。
2030年のあるべき姿を探求するSDGsでは、5G(第5世代移動通信システム)時代の到来を見越した、海底ケーブルだけに依存しない通信システムの構築を目指してもらたい。