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松本(郷ノ浦中)が銅メダル胸に凱旋 全日本中学陸上男子走り幅跳び

第44回全日本中学陸上競技選手権大会(8月19~22日・熊本市)の男子走り幅跳びで自己ベストの6㍍78を記録して3位となり、表彰台に上がった松本汰壱(郷ノ浦3年)が22日午後11時郷ノ浦港着のフェリーで帰島した。ターミナル前には、深夜にもかかわらず同中陸上部のメンバーとその父母、教職員ら約60人が松本の記録と同じ6㍍78㌢の横断幕を急きょ作製して出迎えた。設備、練習環境も決して十分ではない離島からの挑戦で全国3位の偉業を成し遂げた松本の快挙は、本人の今後の陸上競技人生だけでなく、後に続くランナー、他の競技や文化系クラブの生徒たちにも、大きな自信をもたらすものとなった。
同級生らは松本が乗ったフェリーが岸壁に近づく前から大きく手を振り、「おかえり~」と大きな声を掛けて出迎えた。フェリーからのスロープを渡る松本は、激闘の後の移動というハードスケジュールにも関わらず、満面の笑みを返した。全国大会でのメダル獲得は、松本にとって大きな夢の実現だった。
深夜のフェリー岸壁は祝賀会の会場と化した。松本は「夜遅くにこんなに多くの人に出迎えて頂き、ありがとうございます。予選は一番下で通って、トップ8に残れればいいかなと弱気な気持ちが出そうだったが、皆さんの応援に支えられていることを思い出し、最後まで勝つ気持ちを忘れずに、自分を信じて跳躍をした。最後の3本はファールだったけれど、思い切り攻められたので3位でも満足な結果です」と出迎えた人たちに報告した。
薄氷を踏む思いでの栄冠だった。3本跳んだ予選はファール、6㍍39、6㍍57と、県大会でマークした6㍍75に及ばない成績。上位12人が決勝に進めるが、6㍍57は12番目で、しかも同記録が3人いた。「ダメだ、予選落ちだと思って、泣いていた」。だが2番目の記録である6㍍39が他の2人を上回ったため、ぎりぎりの12位で予選を突破した。安堵感が開き直りとリラックスにつながった。
決勝の前半3本は6㍍49、ファール、6㍍78と、再び最後の3本目で記録を伸ばし、上位8選手が進める4~6本目に3位で進出。この時点でトップは6㍍97、2位は6㍍82だったため、残り3本は逆転を目指して思い切り勝負をかけた。いずれもファールで最終記録は6㍍78となったが「すごく集中できていた。これまでにない感覚だった。ファールはいずれも1㌢程度のわずかなもので、跳躍は6㍍90近くまで伸びていた。自分に力が付いているのを感じることができた」と最後まで優勝をあきらめずに攻め切れたことが満足だった。
全国大会は2015年、16年のジュニアオリンピックに続いて3度目の出場。15年は12位、16年は9位と立派な成績だったが「雰囲気に飲まれて、大きな舞台で自己ベストが出せなかったのは、自分の弱さだった。でも今年は県大会、全国大会で自己ベストが出せた。それが自分の成長」と自信を深めている。
身長163㌢、体重55㌔と今回決勝に残った選手の中でもっとも小柄だったが、身長は中学に入って10㌢以上伸びている。スプリンター、ジャンパーとしてまだまだ成長の余地をがあり、「壱岐高校に進学したら、走り幅跳びと百㍍だけでなく、二百㍍、四百㍍にも挑戦したい」とさらに可能性の幅を広げていく。
8月29日には県庁を訪れて夏の全国大会報告会に出席。2日は壱岐ナイター陸上の百㍍に出場して夢の10秒台を目指す。松本のアスリート人生はまだまだ始まったばかりだ。
▽父・隆之さん 小さい頃は「できない」「嫌だ」ばかりの子どもだったので、何か一つ自信が持てることを身に付けさせようと、陸上競技を始めた。それがまさか全国3位にまでなるとは驚きだ。皆さんの支えで成長できたと思っている。

 

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