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博多航路に新規参入計画 なかはらグループがフェリー確保

島民の夢である博多航路JR並み運賃の実現へ向けて、一歩が踏み出された。株式会社なかはらグループの壱岐郵船株式会社(中原晋輔代表)が4日、市議会定例会12月会議に「『壱岐~福岡間の通勤・通学航路』運航についての要望」を提出した。「壱岐活性化のため福岡~壱岐~対馬間に貨客フェリーを運航する」計画が示され、「使用船舶はすでに準備ができている」とした上で、岸壁使用などに市の協力を要望した。市議会はこの要望について15日の産業建設常任委員会(久間進委員長)に付託する。
同社が提出した要望書によると計画は次の通り。
①壱岐~福岡間の通勤・通学が可能な運行時間を設定する(壱岐発午前6時~福岡着午前8時05分、福岡発午後6時~壱岐着午後8時05分)。壱岐市の通勤通学費助成制度の利用で、各家庭の経済的負担の軽減を図る。
②運賃をJR普通運賃並みの距離あたり運賃の設定とする。壱岐~福岡間の距離は、福岡~大牟田間と同等距離で、その運賃は1290円。この運賃に近づけるべく検討する。
③壱岐島民の立場に立った運行時間を設定する。さらに高速船の導入についても検討中。
④現在の1日6便(九州郵船のフェリー通常期)に弊社の6便が加わり、計12便となり、島民の利便性が向上し、さらに交流人口の増加が図られる。
⑤壱岐の農水産物輸送に勘案し、トラックの無人化航送等を提案し、物流コスト削減に寄与していきたい。
⑥雇用機会の創出に寄与する(船員・サービス要員等30人程度)。
その上で要望として、▽壱岐島内での岸壁使用許可について配慮願いたい▽運航許可並びに博多港岸壁使用許可等について、九州海運局、福岡市、各関係機関への陳情をお願いしたい▽壱岐市から弊社に対する出資(壱岐市から九州郵船への出資額の範囲内)をお願いしたい、の3点を挙げている。
博多~壱岐~対馬間は海上運送法で定める「指定区間」が設定されており、博多~壱岐間は「1日3往復(内自動車運送2往復)、旅客3百人、乗用車33台」、壱岐~対馬間は「1日2往復(内自動車運送1往復)、旅客75人、乗用車20台」のサービス基準が設けられている(使用船の定期的整備・検査に要する期間はこの限りではない)。
この区間に新規参入するためにはサービス基準を満たす必要があり、平成11年から参入を目指していた同社にとって、このハードルをクリアすることができなかった。
同社は航路計画について「新社名や運賃設定などまだ未決定の重要項目も多く、準備が整い次第、記者発表を行う。それまでは取材への対応を控えさせて頂く」としているが、今回はすでに旅客350人、乗用車40台程度の輸送能力がある船舶を確保し、さらにもう1隻のフェリーまたは高速船の購買計画が進められてサービス基準がクリアできる見通しが立ったため、今回の要望書提出に至ったようだ。
要望の3点について、岸壁使用許可とその陳情は、市としても反対理由は見当たらない。また出資に関しても、現在九州郵船に対しては約9千株(時価約430万円相当)を保有しているだけで、同程度の出資であれば市財政上の問題も大きくはないと思われる。
今後、運輸局などとサービス基準、収支計画、岸壁使用計画を詰め、競合する九州郵船と料金、運航ダイヤの調整などが必要になってくるが、早ければ来年4月からの就航へ向けて、計画は進み始めている。

 

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