またまた壱岐からスーパー種雄牛が誕生した。県肉用牛改良センター(平戸市)が所有する種雄牛「北福平」(5歳、郷ノ浦・末永勇さん生産)が2月25日、現場後代検定で歴代最高の5等級率71%、BNS値は歴代2位の8・1を記録した。
枝肉品質の最高ランクである5等級率は、県平均が19%。昨年1月に勝本町・豊坂敏文さん生産の「金太郎3」が、それまでの33%を大幅に更新する59%の記録を達成した時にも「驚異的な数値」と言われたが、「北福平」はそれをさらに12ポイントも更新した。
同センターの坂口昇平さんは「上物率(4等級以上)の平均でも68%なのに、北福平はそれすら超えている。常識では考えられない数値で、もう2度と出ないだろう。他県のデータはすべて公表されているわけではないので断言はできないが、この数値はまず日本一だと思っている」と驚いている。
驚異的な記録が出た要因として石崎さんは「牛の遺伝は、両親の能力をそのまま受け継ぐものではないが、北福平の場合は両親(父・平茂勝、母・ほまれ)の最高の部分だけ受け継いだと言えるのではないか」と分析。「長崎和牛の品質向上に、今後の活躍が大いに期待される」と県の和牛生産の今後を担う存在であることを明言した。
脂肪交雑(霜降りの度合い)を示すBMS値8・1は「金太郎3」の8・4に次ぐもので、県平均は5・9、全国平均5・8。他の項目もロース芯63平方㌢(県平均55平方㌢)、バラ厚さ8・5㌢(同7・9㌢)、皮下厚3・1㌢(同2・6㌢)、上物率94%(同68%)と大半の項目で県平均を大きく上回っている。
県肉用牛改良センターには現在27頭の種雄牛がけい養されており、このうち平茂晴、勝乃勝、糸晴茂、安茂晴、金太郎3など15頭が壱岐産で占められている。北福平の検定結果は改めて壱岐産牛のレベルの高さを示した。