19日の議会庁舎建設委員会で、白川市長がようやく建設候補地を「大谷公園ゲートボール場付近」と明言した。市が同場所を最有力候補地として調査をしていたことは、早い段階から判っていた。
同委で白川市長はいくつかの理由を挙げたが、建設実現のためにはこの場所しかなかったと思っている。
庁舎の移転には議会の3分の2以上の同意で議決が必要だが、議会構成を考えると16人中、郷ノ浦を地盤としている議員が7人いる。各地区説明会、市民の声を聴く会で、郷ノ浦地区は「建設反対」の意見が最も強かった。庁舎が郷ノ浦地区から移転する可能性に、商業関係者などから猛反発があった。当然、地元議員へ対しての陳情もあり、この7人に反対されたら建設は実現できなくなる。
逆に、もっとも人口の多い郷ノ浦町住民に納得してもらえれば、建設へ向けて大きく前進することは間違いない。民意に沿う形で議会に提案することは、予定調和と思われようと、市としては当然の策だと言える。
ただ、この時期になっての候補地表明は、遅すぎた印象を受ける。市が示したタイムスケジュールでは3月末までに「場所の決定」だけでなく「基本構想の策定」まで行うことになっている。建設の決定、そして場所の選定だけでもまだまだ委員会での議論が必要であるうえ、アンケートを提出した市民に対しての説明も行わなければならない。
さらに規模、機能などの構想まで決定するのに、たった3か月ではあまりにも時間がない。壱岐振興局との執務室の共同化を図るためには、県との協議も繰り返さなければならないし、その結果次第で「規模」は大きく変わり、候補地選定に影響を及ぼす可能性もある。
市長も議会も新庁舎建設を「壱岐市百年の計」と強調している。それならば年明けから毎日、委員会を開催するくらいの意気込みを見せてもらいたいし、そうしなければ理想の庁舎は完成しない。