先日、長崎県内のデパートで北海道物産展が開催され、多くの人で賑わったことがニュースで取り上げられていた。デパートで開催される数多い催し物の中でも、北海道物産展は「鉄板行事」と呼ばれており、間違いなく集客効果が計算できるイベントだと言われている。
北海道は食の宝庫であるのは万人が承知しているし、イベント来客者にとって「北海道=美味しい」というイメージが出来上がっている。その時点で、イベントとしてはもう成功が確信されていると言えるだろう。
そんな北海道物産展なのだが、実際に出店者に取材してみると、「以前の半分も売り上げがない」という嘆きの声が多く聞かれている。「物産展に出品されている商品の大半は、インターネットなどでお取り寄せが可能になっているので、わざわざ物産展に足を運ばなくなってきた」というのだ。
その典型的な例が、一世を風靡した「生キャラメル」だろう。以前は、扱っている店が物産展に出店すると、そのデパートには開店前から長蛇の行列ができ、8階のイベント会場から階段で1階までお客さんが並んだという逸話もあった。だがいまでは行列などまったく見られない。
ネット通販だけでなく、東京にも直販店を出店したことで「いつでもどこでも買える」「北海道らしさがない」と、希少価値地域性がなくなり、お客さんに敬遠されるようになったのだ。
壱岐のおいしい食品は、いまや全国に流通しているし、ネット通販でも販売されるようになってきた。売り上げ増のためにも、まずは知名度を高めるためにも、このような販売戦略は極めて重要である。だが一方で、「この商品は直接、壱岐を訪れなくては絶対に手に入らない」という希少価値、強い地域性がある商品もまた必要なのではないだろうか。
壱岐を訪れる観光客の多い時期になってきた。「お土産は何を買えばいいですか?」と聞かれた時に、「これはここでしか買えないですよ」と薦められる商品がもっと欲しい。