社説

社説・災害支援への恩返しを

6月末から7月6日にかけて本市を襲った豪雨被害から、早くも2か月近くが経過した。市議会定例会8月会議で白川博一市長が報告した本市の被害状況は、▽人的被害なし▽家屋の全壊2件、一部損壊3件▽床上床下浸水16件▽裏山崩壊197件▽農地・農業用施設、道路、河川などの被災箇所は1600件以上▽葉タバコの被害甚大、というものだった。
市は7月27日に農水省に対して必要な支援を単独要望し、政府は8月6日に被災地域を限定せず全国を指定対象とした、激甚災害指定を閣議決定した。農業災害については本市も激甚指定を受け、国庫補助率が最大で9割程度まで引き上げられる。
一方で、民間からの温かい支援も被災地に届けられる。ふるさと納税の「ふるさとチョイス災害支援サイト」で行われている九州豪雨ふるさと納税寄付金は、8月21日現在、総額約1億9500万円に達しており、このうち壱岐市に対しての納税は約895万円となっている。
本市も大きな被害を受けたものの、福岡県朝倉市、大分県日田市などの甚大な被害に比べれば、軽微だったと言えなくもない。それなのに895万円もの寄付をして頂けたのは、感謝と同時に、申し訳ない気持ちにもなる。しかも災害支援のふるさと納税には返礼品がない。
この恩に報いるために、「何か」をしなければならない。まずは、寄付金の使途を明確にすることが必要だ。災害復旧全体に使うと、成果が見えにくくなる。例えば勝本小学校近くの道路陥没の復旧工事だけに使い、同小児童からお礼の手紙を送るなどの方法が考えられる。
本市でも被害を全く受けていなかった市民も多くいるのだから、市職員や市議会議員が中心になって、寄付金と同額の895万円を目標に市民から寄付を募り、寄付の効果を2倍にするという手もあるかもしれない。
市議会9月会議一般質問で、新人議員から斬新なアイデアが出されることを期待したい。

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